越前藩国
http://www27.atwiki.jp/echizen/pages/22.html
敵が攻撃動作に入る。
それを見た瞬間、本能が告げる。
目前に迫るのは“死”であると。
危険、きけん、キケン!
避けろ、かわせ、逃げろ、逃げろ、にげろ、にげろ、ニゲロニゲロニゲロニゲロ!
本能の警告に従い、後先を考える間もなく全力でその場を離れる!
だが……遅い。
敵は冷徹な目でこちらを見やる。
何故だかわかった。アレは、「もう死んだもの」を見る目だ……!
そのまま攻撃動作を完成させる。
直前に、敵の注意がそれた。
仲間からの支援攻撃。
敵の注意がそれたのは一瞬だけだが、今はその一瞬が命綱!
刹那の思考の只中で、身体は全力を超えた死力を持って、敵の攻撃軌道より離脱した。
よけ藩国
http://eyedress.at.webry.info/200703/article_69.html
ざわめきに包まれた新兵器から目をそらすと、よけ藩国歩兵部隊は眼前の敵軍に意識を集中した。
『引き金を引くタイミングは同時に。』
まったく信用はできないが、あの新兵器に興味が向かったおかげで、予想された犬との対立はほとんど無く、むしろ毒気がぬかれて順調なほどだった。
淡い緊張感から抜けきることはできなかったが、それでもやはり同じ感情を持つと、意思の疎通がスムーズになる。
よけ藩国民はわりと犬が好きだった。
藩国にたどり着いた「うにょ」という名の、亡国のメードに国を挙げてノックアウトされている節がある。
通信機から射撃命令が出る。一呼吸の間に弾丸が雨のように敵に降り注ぎ、呼吸が止まるほどの爆音が響いた。
訓練された体が反射的に敵を打ち抜き、吹き飛ぶ泥にまみれながら、隣の犬の部隊から小さな声が聞こえてきた。
『どこかの誰かの未来のために』
笑う。まさにウワサに違わぬヒロイックな台詞。これは負けてはいられない。部隊長が唱和する
『どこかの誰かの未来のために!』
さざ波のように言葉が広がり、詩のように響いていった。
【記録音声】
戦争だ、戦争だ。
連戦に継ぐ連戦で、歩兵部隊の隊員の心身はすさみきり、とぎすまされている。
まさに戦闘精神モード。銃声が福音にすら聞こえる。
戦争だ戦争だ。
目的はもはや全て無く、ただ眼前のチルを粉砕する。
圧倒し、爆砕し、粉砕し、それでも尚足りぬならば、骨の髄まで絞り出し、荒れ野骨で武器を作ろう。
さあ、戦争だ戦争だ。
銃口を並べ、晒すようにとチルたちに弾丸を叩き込み、詩を詠おう。
よけ国FVBのいいところー、もっとわしたち見てみたいー!
詩に合わせて砲撃連打。衝撃波が壁になって敵の攻撃をそらした。
そらされた道には進軍路。突撃の瞬間であった