越前藩国
一団の若者達が、戦場を駆けて行く。
本来ならば、夢と希望に満ちた未来を思い描き、青春を思う存分に謳歌する年頃の若者達である。
しかし、彼らは時代の要請に応え、私情を断ち切って戦装束に身を固めた。
泣きごとも、恨みごとも言わず、残してきた人々の平穏をひたすらに願いながら、
敵の蹂躙から祖国を護るために、圧倒的な敵に向かって突撃して行った。
「……おい。この戦い、どうなると思う?」
「そうですね……何か奇跡でも起きればなんとかはなりますね。
……まぁ、滅多に起きないからこそ、奇跡って言うんですけどね」
「待てよ。そりゃ違うだろ?
絶望的な状況で、それでも諦めずに全力を尽くしたからこそ、その結果を奇跡って言うんだぜ?
何もしないで上手くいっちまったら、ありがたみもクソもねぇ。そんなもんは『ただの偶然』って言うんだ」
「そうです!奇跡は起きます! いえ、私達が起こしてみせます!
だって……お話の中でくらい、ハッピーエンドが見たいじゃないですか。
物語っていうのは、幸せな結末を夢見て生まれたんだと、私は思います。
……だから、私達は」
「「――ハッピーエンド以外は認めない!」」
「……やれやれ、暑苦しい方々だ」
「お前だって嫌いじゃないだろ。こういうの」
「何でそう思うんです?」
「だって、顔が笑ってますもん!それも、すっごく楽しそうに!」
「どうやら私にまであなた方の熱が移ってしまったようですね。
……よろしい。奇跡を起こしに行きましょう。ハッピーエンドを迎えるために!」
「「応!!」」