越前藩国
「今回の戦闘。陣地構築が鍵を握ることだろう。
私は熱望する。君達の活躍を。
そして私は確信する。君達がそれを成し遂げる事を!」
出発前に、司令官より告げられた言葉を胸に、陣地構築部隊は急ピッチで作業を進めていた。
敵進路が予測された後、指示された場所に急行し、その場に最適の陣地を構築する。
言葉にすればこれだけだが、実際の作業は困難を極める。
だが幸いな事に、今回戦場となる藩国内各地の地形、地質、地盤についての詳細な情報が事前に知らされている。
越前藩国の誇るセンサー網とその管理技術を生かした結果だ。
予想される敵侵攻路において、陣地構築に最適と判断された地に到着した。
作業監督官の的確な指示のもと、各員の経験を生かして作業は進められた。
ある者は農業で鍛えた地面との付き合い方を示し。
ある者は手馴れた動きで大型機械を操る。
またある者は現場に合わせて適宜修正案を生み出し監督者に提案する。
各員が「国を守る」というひとつの意思の元、自分に出来る最大限の努力を尽くした結果、急造とは思えぬ堅固さの陣地が完成した。
確認された敵の武装は詠唱戦闘および琴弓が主であったことから、特に遠距離攻撃からの防御に力を入れた構造となっている。
最後に監督者は各員の検討を称えた後、慣例に従い陣地に表札を立てた。
表札には遥か古の言葉でこう書かれている。
「正義の砦、出張所」と。