【アイドレス/食料生産地】
イベント14食糧増産:【食料生産地】リクエスト イラスト3点+設定文章

◎食料生産地 稲作 (イラスト1枚目)


 平地の約25%は農業用地です。さらに丘陵地帯の20%は段々畑となっています。これに地下施設の水耕農場などが加わって、FVBの農作物の供給源となっているのです。主な生産物は米および花、そしてそれらの加工物です。
 ここでは、こうした施設や作物にまつわるエピソードを紹介していきましょう。

【天田・地田】
 平野は至る所が田圃です。田圃の間を道路が走り、住宅や公共施設が点々としているといった感じでしょうか?(大型の施設のほとんどはすべて地下にあります)
 山肌の一部が段々畑になっており、そこでは水稲が栽培されています。水田には高い水質改善効果があるため、山岳地帯から流れてくる水も、かなり下流までそのまま飲めるぐらいの清流を保っています。
これら地上の水田は天田と称されています。
 一方、地下の水田を地田と言います。
 地下で農業というと奇異に聞こえるかもしれませんが、温度は地下から湧き上がる温泉や地熱で調節できるし、風量・光量を調節できますので、面積あたりの収穫量は地上を上回っています。さらに、面積は少ないものの年間を通じての収穫が可能なので、今では地田はFVB農業の大きな一翼を担うようになっています。



【案山子】
 田んぼの中の一本足の案山子は果たして寂しくないのでしょうか?
 スズメやカラスにバカにされて悔しくないのでしょうか?

 そんな案山子さんの悩みにお答えすべく、麗しき勇気ある花たちの国ではカカシロイドを開発しました。
 普段は畑の作物を小鳥や獣から守るために仲間たちとがんばり、農閑期あるいは戦時には機甲侍の指揮でみんなと一緒に戦う働き者です。


【小麦】
 お米や花ばかりが目立ちますが、他の野菜とか穀物をまったく作っていないわけではありません。もちろん小麦も。
 藩国のあちこちで忙しく働いているメードさんたちが、朝食時には出来たてほやほやのウマウマのパンがないと不機嫌になってしまうからです。


【果実】
 もちろん食卓を彩る
、葡萄・もも・栗・梨・林檎・蜜柑といった果物も忘れることはできません。緩やかな山の斜面には、こうした果物の林が続いているのを見ることができます。

◎課題文章「FVBと花果」 (5,168バイト=約2584字)



季節の寒暖は甘い果実を実らせる。
木の枝を撓ませる色とりどりの果実に、収穫の手は喜びを隠しきれぬほどに浮かれている。

最初の一杯は神様に
朱塗りの杯で差し上げましょう。

次の一杯は大地にへと
実りをありがとうと渡しましょう。

三杯目ならお口の中へ
乾杯乾杯
実りの秋だ

歌いながらも手は動き、熟したものは食用へ。形が悪ければ加工品。ちょっと青くて形が悪いのはお酒用。

 刻んでしまえば見えはしないと、熟した傷ものを籠に一杯持った少女が降りていく。薄く刻んで乾燥させれば、冬でも甘い果実が食べられる。細かく刻んでお酒につければ、お菓子に混ぜるフルーツピール。砂糖と一緒に煮込んで煮込んで、甘くて長持ちジャムになる。剥いた皮は刻んで乾かし、お茶と混ぜればフレーバーティ。香りのよいお茶は食用花と一緒に貿易に使えないかと研究もされている。

 お酒につけるのは青い果実。後一歩で熟れてしまうそんなものが最適なので、取る前にほんの少し手を合わせて、熟すまで待てなくてごめんなさい、けど美味しく食べます。
 作り方は花酒と同じ、洗って選別、ガラス瓶に氷砂糖と一緒にたっぷりと。花梨、無花果、柘榴、柿に梨にと歌いながら詰めていく。暗いところで十分寝かせて中の果実を取り出して、漉す。取り出した果物は刻んで料理に混ぜてしまう。
 そしてもう一つ。たっぷりと果実を絞り、果汁を使ってお酒を造る。葡萄以外でも糖度の高い果物なら何でも。

 桜が咲いたら飲めるぞ飲めるぞ。咲かなくても飲むくせに、とまぜっかえす合いの手に笑い、手は止まること無く果実を収穫する。籠にあふれる実りに感謝を。秋の良い日は陽気な歌が山に響く。


【花酒】

 白い手が花を摘む。
 咲き誇る薄紅色の桜の花弁は地面につく前にそっと柔らかなネットに落ち、それを細い指が一つ一つ丁寧につまんで集める。
 桜だけではない、ラベンダー、藤、タンポポ、カモミール。
 花は咲いたと同時に丁寧に摘み取られる。
 薄紅色の、真っ白な、朝焼けの、紫の。
 花弁を摘み上げた指は、煮沸消毒されたガラス瓶にそれらをいれると小さな氷砂糖と、酒をたっぷりと注いで蓋を閉じる。

 静かでひんやりとした倉庫の中に、花を詰めた瓶が並ぶ。
 この国の産業の一つ、花酒。

 色とりどりの花弁を含んだガラス瓶はここで一月から三月ほどをかけてゆっくりと眠り、花弁を漉され、新しい瓶に詰めなおされてまた熟成される。
 アルコールのきつさが取れたら出荷時期。

 ほんのりと香る花酒を、一ついかがでしょう?


【食用花】
 藩王居住区を囲むように花畑がある。色とりどりに咲くその花は観賞用ではない。

 青い制服の上に白いエプロン姿の少女が籠を片手に花畑へと歩く。
 手のひらを二つ広げたほどの小さな籠の中には、薄い手袋と鋏が一つ。
 時折花の様子を見ながら、首をきる。
 咲きすぎたものより蕾がほころんだものを。
 一つ二つ、と薄い手袋を嵌めて手で籠に入れる。

 男性には不評だろうか?
 朝のサラダに入れるための赤いバラに手を伸ばして少し考える。
 けれど、ビタミンAも食物繊維も豊富なので食べていただきたい。
 しかしまぁ、朝からバラ山盛りはきっついかもしれない。

 鮮やかなビビッドオレンジのカレンジュラも咲いているしバラはほんのちょっとにしよう。うん、と頷いて少女はビビットオレンジのカレンジュラをたんまりと籠に摘みとった。
少し乾燥させてパンに混ぜて、あぁ、そうだスープにも入れよう。
 カレンジュラ、またの名をホウセンカをたっぷり籠に入れて、少女は弾むように帰っていく。 




【薬草】
 花粉症の薬ばかりが、笑い話として(国民としては別に笑い事のつもりで作ったつもりはまったくない)流れていくこの国ではあるが、その広大な花畑から生み出される花々の中には薬効のあるものも少なくはない。

 疲れたー、と食堂で唸っている技族の前にドンと置かれたのはピンクの花弁だった。
「・・・・・・は?」
 その横を通り過ぎようとした文族が目を丸くし、次に爆笑した。
「笑いすぎだ」
「あぁ、また徹夜で整備してたのか」
 うっすらと隈の浮いた顔にすまんすまんと笑うと文族が花弁を一枚つまんで口に運んだ。
真顔で咀嚼し、そしてお茶ー、とスキップしていたもう一人の文族を捕まえた。
「ぎゃ」
「この花は?」
「・・・・・・いきなり首つかんでそれかいうことは、ん?あぁ、カーネーションか」
「・・・・・・カーネーション?」
 母の日にはカーネーション。
 レェスを丸く集めたようなカーネーション。
 ていうかあれは食えるのか?
「首はなしてってば、カーネーションは疲労回復と心臓にきくぞ。最も花弁しか食べられないけどな」
 まぁ、栄養ドリンクよりは体にいいさーとスキップしながら文族その2がいってしまうと、技族と文族は顔を見合わせて皿の上に慎ましく存在しているピンクの山を見た。
「・・・・・・うん、まぁ、ほら、折角の好意だから」
「・・・・・・何故生で出す・・・・・・」
「・・・・・・さぁ?」
 もしゃもしゃと半泣きで食べたカーネーションが効いたかどうか、薬学について研究している人が聞きに来たのは次の日のことである。

「・・・・・・人体実験ッ!?」

注:現在、国内では薬として利用されています。(藩王)
(報告者:天河宵)




◎食料生産地 水産業 (イラスト2枚目)


◎課題文章「FVBと海」 (4,198バイト=約2099字)
 自然に親しむ『Floresvalerosasbonitas 〜麗しき勇気ある花たちの国〜』の民にとって、また海も命の恵みを与えてくれる場でした。
とはいえ、この藩国の民にとって、今までは海はあまり馴染みのない世界であったことは否定できません。これほど豊かな海に恵まれてはいるものの、漁業はそれほど盛んというわけではなかったのです。
 何か晩ご飯のおかずが一品二品欲しいと思うときに、ひょいと釣り竿や投網を担いで出かけて行って・・・・・・そんな存在なのでした。
 それはあまりに海が豊かすぎるがゆえでした。

【釣り】
 男は岸壁に座っていた。
 ひょーいと、竿を振って針を海へと投げ入れる。
 餌はその辺の石の下にいた。
 男の背には海風を防ぐ為の林がある。
 塩分を含んだ風は、人が育てる花をからしてしまうからだ。
その木々は太く、どっしりと根を張って天へと伸びていた。

 男はぼんやりと空を見ていた。
 竿を伝わる振動は風のもので生き物のものではない。
 脇で転寝をする犬士の鼻先を潮風がからかった。


 日が落ちようとしていた。

 男は、釣った魚をケースに収めて、犬士の鼻先を突っついた。
 ぷし、とくしゃみをして犬士が目を覚ますと竿をかたづけ、立ち上がる。
 ずっと座っていたため僅かに体が軋んだが、きにせずの大きく伸びをした。

 ケースの中で、魚がびちびちと跳ねた。
 犬士がぷし、とまたくしゃみをする。


 しかし、そうした光景も急速に変わりつつあります。
 既に戦争は身近なものです。戦闘中にお腹が空いたから、ちょいと釣りにでも・・・・・・というのは無理な話です。人々は、普段から備蓄できるもの、保存できるものをという考えで海を見るようになってきました。ちょっと寂しくはあります。
 では、ブロック5の海岸エリアを散策して、人々と海の様子を見てみましょう。
 朝の7時ほどになると、前夜出港した漁船が次々に港に戻ってきます。
甲板から見える漁師たちの笑顔。大漁旗が無くても満足できる水揚げだったことは容易に想像がつきます。



 海岸通りに小屋が並んでいるエリアを散策してみましょう。
 堤防沿いにぽつりぽつりと小さな小屋が並んでいる。そこからちょっと生臭い魚の香りがかすかに漂ってきます。
 ちょっと足を止めてのぞき込んでみましょうか。
 がらりと戸口を開けると、中はコンクリート打ちされただけのがらんとした1つの部屋です。窓だけは大きくて明るいのが印象的です。
その片隅に薄い木箱が何段にも積み上げられており、何人かの年配の女性たちが椅子に座って作業をしています。魚を開いているのです。
魚河岸からあがった魚が運ばれてくると、女たちは小さなナイフでちょちょいと魚を開いてはらわたを抜いていきます。木箱から魚を取り上げ、ぴっと割いて、ぱっとはらわたを抜いて積み上げる所要時間は1尾あたりでせいぜい5秒。端で見ている分にはずいぶん簡単そうだけれど、実際は熟練の技だし、それを何時間も続けるのは決してラクな仕事ではないはずです。
 でもスルメイカよりはラクだよとおばちゃんたちは笑います。あいつら往生際が悪いからと。
 さて、開かれた魚が傍らのバケツに山盛りになった頃に、年老いた男が外から長靴姿で入ってくると、ひょいと持ち上げてまた出て行きます。
 バケツに入った魚は、この老人の手によって天日干しするべく、風通しと日当たりの良い場所にずらりと並べられていきます。これらはすべて無添加です。中でも天日干のあじ干物は絶品で、噂ではにゃんにゃん共和国の晩餐会で饗されたこともあったとか。
 魚がずらりと日光浴をしている隣では、同じくワカメやコンブといった、ビタミンミネラルが豊富な海の植物たちが保存食として乾燥加工されています。こちらの世話をしているのは、どちらかといえば小さい子供たちです。それを監督するはずの、おばあちゃんが突堤に腰掛けたままうつらうつらしているのはご愛敬でしょうか。
 こうした光景は昔から見られはしましたが、最近では受注量が増え、出荷量が倍々ペースで増えていっているそうです。そのうち、海が荒れはしないかと心配する声もありますが、まだしばらくは人々の食卓を賑わせてくれるはずです。
 一方で、育てる漁業も軌道に乗りつつあります。
 ブリやヒラメなどの養殖も始まっていますが、あまりにも平坦で凹凸のない海岸線なので、普通に生け簀を設置することは難しいようで量は思ったほど増えてはいません。それよりも有望視されているのがウミガメの養殖です。
 天気が良く、波が穏やかな日にブロック6西の海岸地帯へ行くと、トータス・ガールと呼ばれる海亀飼いの少女たちが色とりどりのウェットスーツを着込み、イルカにまたがってカメを放牧に連れ出しているのを見かけることができるでしょう。
 きゅうきゅう啼いているイルカと、きゃーきゃー叫んでいる少女たち。その光景には食料がどうとか、戦争がどうとか考える以前に、人々と自然のあり方について問いかけているような気がします。

(報告者:天河宵,曲直瀬りま)



◎食料生産地 酪農 (イラスト3枚目)





○修正追加

【食糧倉庫】

海岸沿いにある食糧倉庫。

中は俵がぎっしり。



イベント14 食糧増産の様子

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