■系統:エステル・エイン艦氏族・アストラーダ>船乗り

幻燈使 要点 周辺環境
東国人 東洋風の服装 東洋風の人材 黒い髪 四季 入り組んだ地形 稲作 紙と木で出来た家 火山
船乗り 髪を隠す帽子か布 艦剣 膝までのズボン 帆船
理力使い 長い杖 魔法陣
幻影使い 指輪 シルクハット 飛び交うハト


■イラスト(担当:みかじだいすけ

■設定文章(担当:曲直瀬りま
彼ら彼女らは、いずれも漢の中の漢であった。

海であればどこへでも乗り出していく。それが船乗りの性というものだ。潮風が渡る大海原であろうと、放射能嵐の荒れ狂う大宇宙であろうと、船乗りたちにしてみればどっちにしても少しばかり潮や風の読み方が違うだけで、板子一枚下が地獄に違いはない。
他の国では船乗りと呼ばれることが多いが、[東洋風の服装]に身を包んだ[東洋風の人材]の国では、水夫(かこ)と呼ぶことが多い。
あくまで東洋風のこだわりである。
船乗りとて[紙と木で出来た家]で生まれ育ち、[稲作]中心の食生活で育ったFVBの民である。航海中の食事は米の飯に漬け物、そして味噌汁や釣り上げた魚で作ったアラ汁だ。この線は絶対に譲れない。干涸らびたパン、虫の湧いた塩漬け肉など論外だ。漬け物にしたって、単なる野菜の酢漬けは論外だ。味噌、塩、醤油、米ぬかと、さまざまな材料をベースに豊かな[四季]がもたらす自然の恵みを組み上げた漬け物が、船乗りの食生活を支えている。

こうした習慣は、彼らの船が[帆船]から宇宙艦へと替わり、活動範囲が惑星上の海から宇宙の海まで広がった今でも変わることはない(あいにく宇宙空間で竿を下ろしても何もかからないので新鮮な魚は冷凍品で我慢しなくてはいけないけれど)。
布を頭に巻いて[黒い髪]を隠し(*)、[膝までのズボン]の腰には
鋼圧重ね幅広短刀の[艦剣]を差したあいかわらずの姿でパネルが明滅し、発光パネルが通路を照らし出す宇宙艦の中を杖のようなデッキブラシで磨き上げながら陽気に飛び回っている。違いといえば、彼らの手にした[指輪]くらいだろうか。たいていの水夫はそれぞれに意匠を凝らした指輪をはめているのだ。
どこかの貨客船を襲撃したときの戦利品? いやいや、それは彼らが宇宙で事故にあったときの備えだ。たいていの宇宙服にはビーコンや無線機が備え付けられているから、何かのはずみで宇宙に放り出されたとしても、仲間が見つけてくれるだろう。けれどそのとき無線機がうまく働かなかったら・・・・・・なによりも自分の身の安全のためだ。保険は多い方が良い。宇宙服に据え付けられたものよりも微弱ではあるけれど、自分の身体にぴったりついたお守りがもう1つあった方が安心できる。そして万が一木っ端みじんになったとしても、その指輪の意匠が身元を明かしてくれるだろう。

水夫は船乗りとして優秀である。一本マストのスループ艦であろうと、リューンドライブ搭載の涙滴型宇宙船であろうと扱えないものはない。そして[魔法陣]を展開して障害物を排除したかと思えば、[入り組んだ地形]の入り江や海峡であろうとも、水夫頭が[長い杖]をふるって行く先を指し、安全な水路を見つけ通り抜けていく。
そして、いざ戦いとなれば水夫たちは勇猛果敢だ。溶岩を噴き上げる[火山]のように、彼らの心には熱いものがしこたま溜め込まれているのだ。いついかなる時でも士気だけは高い。

彼らの唯一の悩みは、宇宙の海では赤道祭がやれないということだ。
地球の海では赤道を通過する際には宴会を催し、さまざまな余興を披露して海神に通過の許可を得る風習がある。しかし宇宙の海には赤道が無く、当然に赤道祭もない。
さすがにそれは寂しかろうということで、冒険艦が7つの世界を移動するときには、その境界で赤道祭をやろうという話がすっかりできあがっている。気の早い者の中には、[シルクハット]や[飛び交うハト]を使った余興の練習に余念がない者もいるらしい。


(*)[髪を隠す帽子か布]のこと

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