試製7式制空戦闘機 通称:「極光」

○一般性能要求(要点)第4次公共事業のお知らせより
試作機は航空、低軌道宇宙での戦闘を考慮した試作戦闘機である。大型のスクラム ジェットエンジンを一発装備し、着脱不能の大型増加燃料タンクを本体に滑らかに接 続した。武装はレーザーと、ガンポッドである。大気内限定でミサイルも装備した。 大きさは30mを越える巨人機である。


「十分な宇宙艦隊の無い今、
敵の攻撃機は低軌道や大気圏高空で防がねばならないのが現状です」
                    宇宙軍参謀の言葉 92507002
前承
先に行われた偵察機迎撃戦の結果は、ニューワールドに対して大きな被害をもたらした。
その後の、リワマヒ国を中心とした各藩国の動きが無ければ、アイドレスというゲームが終わりかねないくらい、それは深刻なものであった。現在、帝國、共和国の強力な後押しの元、急速に宇宙からの敵に対抗できる戦力が整えられているが、一方で、低軌道から高空で敵の戦闘機や攻撃機を迎撃できる制空戦闘機の開発が、天領で密かに進められており、今その姿を現そうとしていた。

概要
この試作機は、いずれ訪れるであろう宇宙からの敵に対して、惑星を防衛するため「低軌道宇宙・及び大気圏内高空での、敵戦闘攻撃機等の迎撃」を目的とし、敵攻撃機を捕捉するための強力なエンジンと敵の妨害に負けなず状況を見通す探知機器類、確実に敵を撃破できる武装が要求された。
これに対して開発陣が示した回答は、エンジンとして1基の大型スクラムジェットと2基のターボジェット、武装としてレーザー砲、ガンポッド、大気圏内限定の空対空ミサイル、防御兵器、各種電子戦兵装を備えた全長30mを超える大型機であった。

○各種詳細
1)エンジンについて
1.液体水素ターボジェットエンジン(装備数:2基)
通常離陸時及び、メインエンジン始動までの加速や、減速後基地へ帰還する際に使用するパイロットエンジンである。燃料をメインエンジンと共用にしたため、機体内の燃料を複数種類用意する必要が無くなり、限られた積載スペースを有効に使うことが可能となった。
ジェットノズルはメインエンジンのものと、ノズル後端で連結して共用しており、その仕組みを利用してパイロットエンジンの排気流速を用いたメインエンジン用の強制吸気機構が備えられている。この機構を利用することで、低空/低速度からのメインエンジンであるスクラムジェットの始動が可能となり、機体の即応性が向上している。
パイロットエンジンの回転方向は左右で逆回転しており、エンジンそのものが生み出す回転モーメントやエンジンから排出される渦状流を相殺し、機体の安定やメインエンジン始動時の燃焼安定に一役買っている。
なお、メインエンジン運転中はパイロットエンジンは運転を停止し、シャッターで吸気口を閉じて保護している。
2.大型スクラムジェットエンジン(装備数:1基)
この試作戦闘機のメインエンジンであり、大気圏高空や低軌道宇宙での飛行に使用する。
本来であれば、機体が十分な加速度を得た上で始動するが、上記した強制吸気機構のおかげで、早い段階で始動することが可能となっており、緊急時には重力の底から一気に低軌道へ駆け上がることが可能である。
大気圏では、空気中の酸素を吸気口から取り込んで燃焼を行うが、宇宙では機体の液体酸素タンクより酸素を供給する。
液体酸素タンクについては、パイロットエンジンと燃料を共用することによって空いたスペースを使用しており、宇宙での戦闘を行うのに十分な活動時間・航続距離を確保することが可能となった。

※なお、姿勢制御装置については、大気圏内ではフラップや方向舵、低軌道宇宙では機体
内のボンベに充填した液化二酸化炭素を用いた気化噴射機構を使用している。

2)武装について
1.レーザー砲(装備数:1門)
宇宙用で、出力を増加するため一門のみの装備となった。当初、可動式のものも考えられたが、超高速戦闘でかかる負荷と目標指向にかかる時間の問題により、機首前方に進行方向を向いて固定されることとなった。大気圏高空に達するまでは、砲門保護のため、発射口はシャッターで覆われている。

2.ガンポッド(装備数:2門)
宇宙/大気中両用で、機首の少し後ろの位置に2門装備されている。こちらも、レーザー砲の項目で記述した同様の問題により固定式となった。このガンポッドは専用のものであるため、他の戦闘機には流用できないものである。口径は威力を重視して30mmのものを採用している。

3.空対空ミサイル(最大搭載数:6基)
大気圏内限定のミサイル、敵攻撃機を落とすことを目的とした通常弾頭弾である。
誘導方式は、赤外線誘導とアクティブレーダホーミングを組み合わせたもので、多少の妨害では逸らすことの出来無いものとなっている。
低軌道宇宙への出撃の場合は、最初からミサイルを下ろして、代わりにミサイル搭載スペースにデコイや観測用プロープ等を積み込むことができる。

3)防御・支援兵器について
1.フレア、チャフ
敵からのミサイル防御用、但し大気圏内でのみ有効である。

2.ECM装置
敵のセンサーに対して、強力な妨害電波を送りつけたり、偽の情報を送りつけたりして、敵の目を潰す一番の防御兵装である。超高速での戦闘では、近くのものを目で捕らえて判断する余裕は無いなく、センサーで遠くにいる敵の動きを捕らえて、戦闘を行わなければならない。このため、敵の目を潰す手段は有効な兵器となる。

3.デコイ
宇宙用、敵の探知機器に向かって自機と同じ反応を返したり、不規則な動きで相手の気を引いたりする。

4.情報収集・観測プロープ
宇宙用、戦闘開始前に放出し自機の情報収集・探知機器として使用する。自機と強力なデータリンクで結ばれており、随時観測データを送信する。自機のセンサーが敵のジャミングなどにより、無効化されている場合、その範囲外から提供される情報は非常に有効なものとなる。

4)戦術支援AIについて
機体のセンサー群や地上の防空センターからの情報を受け取り、目標となる敵の情報や自機の状態など、パイロットの判断に必要となる情報を処理して優先順位をつけ、パイロットに伝える他、機体制御や敵のジャミング等にある程度自動で対応する、この戦闘機の頭脳でありパイロットのパートナーである。
このAIにより、パイロットに対して掛かる負担を減らすことができるが、AIとパイロット双方がお互いに慣れておく必要があるため、訓練時にはコミュニケーション訓練が実施される。
超高速戦では情報の提示から判断までの時間が貴重であり、一瞬の判断や余裕が生死を分けるため、瞬時に適切な情報を提示・機体の制御を行ってくれる戦術支援AIは必須である。

5)余談 試作機の通称について
由来・命名者とも不明、初回試験飛行時の音速突破の衝撃波に流された雲が陽光に照らされて、オーロラのように見えたから、とも言われている。コックピット内のプレートに表記されている。

(文責:栗田 雷一 国民番号:1700331)

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