FVBの王城に根源種族のアウドムラが攻撃を仕掛け、撃退されてから随分となる。
 撃退といっても戦闘終盤にはFVBに集結した帝國軍及び義勇軍はボロボロのへにゃへにゃで、一部ACEらの火事場の踏張で支えてもらっている間になんとかした・・・・・・というあたりが真実にもっとも近いだろう。
 とはいえ、週刊「世界の危機」っていうかなんというか、FVB決戦の前も後も「あんたはデ●アゴステ●ーニの回者かっ!?」とボラだかカマスだかを怒鳴りつけたくなるほどの危機また危機の連続で、いまだ正式な戦史を編纂する暇もない。よって、噂ばかりが一人歩きし、だいたいにおいて噂や憶測の9割は見当外れであるからして、真相はいまだ薮の中である。羅生門のごとし。
 さて、その激戦のさなか、王城には派手に敵機が降下してきた。
 敵機と言ってもちょっとした都市サイズの母艦であり、それが5機も10機も質量攻撃をするぞと降ってくるのである。1機落ちたって国土の1/3は壊滅するだろうという雨あられの攻撃をどうやって切り抜けたか定説はまだない。人妻素子が現れてお玉でなぎ払っただとか、たけきの王の涙に岩の巨人が動き出したのだとか、いろいろ言われているが、わたしは知っている。突如天守閣に立ったオウサマが手にしたスプーンをかざすと光の巨人になって、降りかかる巨人機を蝿を追い払うかのように右に左に跳ね飛ばしてしまったのだ。本当だよ、ぼく見たんだもん!

 まあ、しのいだはしのいだのではあるけれど、半壊した敵母艦アウドムラの1機が天守閣を押しつぶしてしまった。天守閣なんて飾りですよ、飾り。エライ人にはそれがわからんのです!ってわけではないが、FVBの機能中枢は地下深くに設置してあるため、作戦機能も統治能力にも支障はなかったが外聞が悪かった。
「まいどくんみたいですねえ」
 それがなんなのか筆者は浅学にして知らないが、白壁の王城に突き刺さったアウドムラを見た参謀の1人がそう呟いたのを耳にしたことがある。なんにせよ、見栄えが悪いことは確かだ。
「まいどくんというより、ただのアドーアギレネスだなあ」
 さらに別の参謀がそう評した。アドーアギレネスなるものがなんなのか、筆者は浅学にして知らないが・・・・・・(以下略)。
 ともかく、今では天守閣も修復されて、その凛々しい姿を城下町からも見ることができる。国庫が苦しいおりではあるが、アウドムラの廃材を利用したり売り飛ばしたりした資金でなんとか復旧できたのである(銅線なんかけっこう良い値になった)。あともう1機くらい落下していたら、天守閣に専用ジャグジーを設置できたのにとオウサマは残念がっているそうである。

                               (りま記す)
This page is 決戦FVB異聞.