星見司とは、世界の謎に挑む挑戦者であり狩人である。
 吏族が過去から現在を把握し、参謀が現在から未来を見通すように、星見司は7つの世界の事象すべてを掌握して世界の構造を知らんとする存在だ。

 彼ら星見司処に所属する者たちが、星見司処長官が住むという「星辰の塔」にて、どのような活動をしているのか知る者はいない。そもそも、その星辰の塔そのものが、星見司にしか見えない伝説の存在なのだ。しかし彼らが文字通り、塔から望遠鏡で星を眺めて予言しているだけなどと考える者は少ない。
 知恵ある者は言う。
 星見司は神秘的な存在ではない。ただ、天に煌めく星々のように、無数かつ1つ1つが綺羅の輝きを見せる貴重な情報を集約し、それぞれに関連性や因果関係を見いだし、それを結合させているだけなのだと。
 それは十分神秘的な能力では無かろうか。

 いずれにせよ、星見司がどのように星を詠むか知らなくても、彼らが見出した運命を知ることは難しくない。なぜなら、たいていの場合、彼らは自らが見出した星詠の解を現実の力として具現化しようとするからだ。
 彼らは単なる予言者ではないし、「知」が目的でもない。それはより良い物語を紡ぎ出すための手段に過ぎないのだ。より多くの人がより幸せになるための努力を惜しまない、そのための道具なのだ。それが気に食わない物語であったなら、拳を叩きつけて粉砕してしまおうというのが星見司であった。
 星見司は星を詠み、それによって運命の物語を読み解こうとする。しかし、読み解いた物語の結末が気に入らなかった場合、何としてでも書き換えようとする。参謀を使い、藩王を動かし、ただひたすら「気にくわない運命を打ち砕く」ために邁進する。それが時には周囲に常軌を逸した行動と見えることもあるが、それを制止するものはいない。

 そこに正義があると確信しているからだ。
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