吏族とは、にゃんにゃん共和国及びわんわん帝國に仕えている官公吏、つまりお役人のことです。お役人というと、世間一般的には、怠惰・責任回避・無能の代名詞のように揶揄されることがありますが、アイドレス世界に限っては吏族をそのように言う者はありません。強大な権力とそれに伴う義務を課せられている吏族には、怠惰や無能といった要素が入り込む余地はないのです。
彼らが藩王をもしのぐ権限を与えられていながらも乱用することはなく、誰よりも身を粉にして働く、文字通り「国家第一の下僕」であることは、幼子であっても知っているものなのです。

全く不思議なことに、出自も経歴もばらばらなはずの彼ら彼女らですが、各藩国から出仕し、アイドレスを統べる法を執行する番人として尚書省のシステムに組み込まれるや否や、まるで双子のシンパシー能力のように一にして全、全にして一とばかりに機能を始めます。そして偏ることなく、独立した存在として、さまざまな場所からの情報を収集し、整理し、それをさらに互いにクロスチェックすることで精度を上げていきます。
こうして本領を発揮するようになった吏族は、過去から現在に至るまでのすべてを知っており、何を聞いても驚くことはないとさえいわれています。
しかし、彼らと各藩王との間に時として緊張が走り、軋轢が生じることがないわけではありません。それは、常に滅私奉公で天下国家(すなわち共和国ないし帝國)を第一に考えて行動する 吏族に対し、各藩王はまず自らの藩国と国民を第一に考えることが多いからです。最終的には同じ目標をめざす者同士でありながら、この些細な立ち位置の差が大きな差になることはあります。
けれども、吏族の使命は、過去から現在に至るすべてを把握し、整理すること。互いに求めていることは、共和国または帝國を動かし、その動向を把握して各藩国を直接または間接的に指導・監督するという大いなる任務についてこられるか、きちんと出仕して激務に耐えられるか、仲間を失望させないか、それだけです。
それさえ忘れなければ、吏族も藩王も、1つの偉大な世界を構築する歯車として前進することになるでしょう。
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