アイドレスにおける参謀とは、藩王または藩王会議を補佐するのが仕事。つまり、藩王らによって決定された戦略目標を達成するための作戦を立案し、その実行に必要な戦力を確保して、実際の作戦指揮官へと手渡すことを職務とする存在です。一般的な吏族が、過去から現在に至るすべてを把握しているとすれば、参謀は現在から未来を把握するのが仕事であり、その意味では星見司に近いと言えるでしょう。
各藩国が共同あるいは連携して軍事作戦を実施する場合、参謀は参謀会議を招集し、各藩国間の利害を調整しながら、にゃんにゃん共和国あるいはわんわん帝國というそれぞれの陣営の勝利のために作戦を立案することになります。これが参謀の軍事的役割です。
アイドレスにおいては一度戦端が開かれると、ゆっくり作戦を考える余裕はありません。作戦指揮官が瞬時の判断を下すことが多くなり、そこでの参謀の出番はほとんどなくなります。
つまり「作戦開始時刻までに、必要なだけの戦力を適当な場所に配置する」ことが参謀の仕事の要なのです。
しかし、それだけが参謀の仕事ではありません。平時には、戦時に備えた体制を各藩国で整え、有事に動員するための兵員育成や資材の備蓄を、より効率的に進めるための施策を提言していくことで藩王を補佐することになります。「戦時に必要な戦力を確保できるよう常に準備しておく」のも参謀の仕事なのです。政策的役割といえるでしょう。
では、こうした仕事をこなす参謀に求められる能力とは何でしょうか?
第1に、「人の良さ」でしょう。それが天然の人の良さであろうと、心理学を徹底的に応用した末に作り上げた仮面であり、底に権謀策術を尽くす人の悪さを隠していようと同じことです。参謀は作戦を考えはしても実行はしません。考えた作戦を藩王や作戦指揮官に採用してもらわなくてはいけないのです。
第2に、自分の主張の要点を論理的かつ簡潔にまとめる能力です。いくら優れた作戦を思いついたとしても、それを実行する人に理解してもらえなければ意味がありません。
敵の行動を事前に予測する未来予測や想像の力、地形を鳥瞰で見下ろして的確に兵力を配置する能力、さまざまなプランを形にして実現に移していく行動力が、この2つの能力に続きます。そして、これら能力を駆使して、起こりそうなこと、起こりそうにないけど可能性はあること、すべてを予測し、心構えをし、予想外の事態すら想定して対処できるだけの材料を用意しておくことが、参謀の本分なのです。
「ふ、こんなこともあろうかと・・・・・・」
こんな台詞を吐く瞬間こそ、参謀にとって最大の見せ場なのです。

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