「各藩国の独自色と意識反映の為の改善案について」 文責・時雨



 BBSなどで既に指摘されているように、現在参謀資格保有者は多いとは言えない。その上、資格保有者は帝国全体としてみた場合所属藩国に偏りがあり、
参謀を一人も出仕させていない国は全十八国中七国にも及ぶ。これは動員時の人手不足のみならず、各藩国の戦力理解の不十分という問題にもつながっている。


 例えばFvbと越前藩国では東国人+剣士+サイボーグという同じ組み合わせのアイドレスを取得しているが、越前藩国がArmBurst(アームバースト)の技によって筋力強化を行なっているのに対し、Fvbではデータリンクというサイボーグならではの通信機能を設定に盛り込み、更に技として感覚強化の「聴」を取得する事によって「感覚」を強化している。これらの技や設定の違いは様々な単純な能力計算に影響するに留まらず、設定そのものを作戦に組み込む事も可能である。


 その例としては、「バトルメード is No1」の際さくらつかさ隊が敢行し、作戦評価3(最大値)を叩き出した「サムライ・ストライク作戦」が挙げられる。
これは6機のI=Dを白兵・砲撃の二分隊に分け、火力支援の元に白兵隊を突撃させた後に砲を破棄した砲撃隊が最大戦速で合流。
シールドにしがみついていたサイボーグ剣士(宙侍)を投下し不意打ちを仕掛けるというものであった。
 一見してみれば、この作戦は非常識である。人型機動兵器の盾の裏にしがみつくなどという事はまともな人間(アイドレス)では不可能であるし、万が一超人的な曲芸によってそれを可能にしたとしても攻撃のタイミングを図る事は難しい。しかし、部隊の中核となったFvbはサイボーグ、そしてデータリンクによる感覚強化という設定を導入する事でこの不可能を可能にしたのである。
 本作戦はメード副長さくらつかさの要請に応じて現在参謀四級として本部に出仕しているFvb大族・三尾大介が発案したものであるが、これはサイボーグを基本職アイドレスとして習得し、その莫大な燃料消費に悩まされながらも長く運用してきたFvb国民であるからこそ発案しえたものである(1)。
 作戦立案に関してたけきの及び奇眼の両国からも作戦の提案を受けたが、そのいずれにもこれに類する「国の独自色」は盛り込まれていなかった事実が裏付けている。
 なお、これは両国の立案能力を批判、あるいは誹謗する意図によるものではない。両国から寄せられた作戦案は秀逸なものであり、初期段階での作戦立案に大きく寄与している(2)。しかし、藩国にはそれぞれの国民にしか知りえない独自色が存在していることもまた事実である。そして、これは作戦立案に少なからず寄与するものである。

 懸念、問題点はもちろん存在する。


 「サムライ・ストライク」はFvb国民を中心とした部隊だからこそ可能だった事であり、わんわん帝國全藩国から編成される部隊で同様に国色を押し出した作戦を取る事は難しいであろう。しかし、部分的にそれらの設定を導入する事で作戦の精度を向上させる事は十分に可能であると思われる(3)。また事前の協議が十分であれば、藩国の特色を互いに相殺させる事なく盛り込む事も決して不可能ではないだろう。しかし、参謀出資者が十分とはいえない現状ではそれは難しい。
 その解決策としては、前回の大吏族チェックに習い参謀補、あるいは準参謀を設けることを提案する。これは各藩国から作戦立案の段階において事前に任命した参謀補を作戦立案班にオブザーバーとして召還し、各国の独自色を活かす方法を提案してもらうものである。
 また、各国から意思反映の機会を設けることで現状では各藩国(特に参謀未出仕国)に与えかねない「参謀本部からの一方的な押し付け」という悪印象を大きく和らげる事が出来るであろう。更に彼らを予備要員として本部に組み込む事も叶えば、参謀本部の人材不足は解消される。


 次に、このシステムを導入すると仮定した場合の問題点を検討する。


 まずは参謀補の人材であるが、これは「になし藩炎上」では各藩国が独自に作戦を提出していた事を鑑み、若干の能力差こそあれ各藩国に作戦立案を行なう人材は存在しているので可能であると思われる。選抜に関してはこちらの活動内容を具体的に伝えた上で、各藩国に一任する事が望ましい。
 能力的な問題であるが、これには参謀本部が規範および最低限の専門知識を纏めたレジェメを作成、配布することで対応する事が考えられる(4)。
 人員過剰となる事によって発生するであろう意見の拡散に関しては、作戦立案の段階化によって解決する。具体的にはまず三級以上によって編成された既存の作戦立案班が作戦の概要を作り、然る後に参謀補を召還。概要を前提とした上で彼らの意見を導入するのである(5)。
 最後に参謀本部に出仕した場合の恩典であるが、意欲促進の為に可能であれば設定するべきであろう。もし不可能であった場合でも、これは参謀作業が作戦行動において多大な意味を持つ事から致命的な問題とはならない可能性もあるが。


1:更にこの後、藩国会議室でのチャットにおいて三尾からサイボーグの筋力を活用する事で砲の輸送手として運用する案が提示された。


2:更に付け加えれば、恥ずかしながら同じくFvbで作戦立案に関わった筆者もこのような作戦を思いつくことは出来なかった。


3:例を挙げれば、前述のランス輸送など。


4:このレジェメは共通認識の構築という意味で、参謀補のみならず参謀資格者にとっても有効なものとなると思われる


5:もし作戦立案に十分な時間が確保出来るのであれば、彼らを交えたブレーンストーミングを概要作成の前段階に行う事も効果的であると思われる

This page is レポート初稿.