〜 藩国漫遊記2 〜

−−−になし藩国編−−−
無計画に旅に出た寂水がまず向かったのは
FVBの隣に位置するになし藩国でした。


この国の特徴としては、藩王が美少女!
と思いきや実は男性という実に破壊力のある国です。


街は大変にぎやかで、その辺の居酒屋では
おっちゃんが一升瓶を一気飲みしている光景も見かけられます。


帝国の人間なら誰もが閲覧できるように公開されている資料の中に
「はいてない国人」と表記されているのに最近まで誰も気づかず、
それをたまたま発見した妄想力溢れる旅行客の一部が
鼻血を噴いて倒れたとかいう噂もあります。


さて、そんな街中の一角に会議兼相談所として
一般にも広く開放されている場所がありました。


「ノリでここまで来たのはいいけど、どう入ろうかなぁ」
寂水は扉の前に立って今更ながら悩んでいました。
どうやら本当に無計画だったようです。


別に悪い事してるわけじゃないから正直に言えばいいかなぁと
気を取り直して扉を手をかける。


「こんにちは〜、FVBの寂水といいます。特に用事も無いのに遊びに来ました〜。」


突然の他国からの来訪にざわめく会議室。
芒という名前の吏族が声をかけてくる。

前に天領での吏族出仕の時にお世話になった人です。


「お久しぶりです寂水さん、突然どうしたんですか?」
「どもども、本当に特に用事も無く遊びにきました〜」
「それはそれはw」
「で、どうですか最近?」
「見ての通り、ポチ王女を出迎える準備で大忙しですよ」


机の上には巡幸用御輿の設計図やら
ルートの選定などの図面が広がっています。


「ポチ王女が来るって噂、本当だったんですね」
「えぇ、おかげで大騒ぎですよ」


と、嬉しそうに笑いながら席に案内してくれる。
”当国ではプリンセス・ポチを応援しています。”
というキャッチフレーズは本気だったようです。


しばしの歓談の後に
レイン「寂水さんなら、ポチ王女になにお願いします?」
寂水「え?お願いできるチャンスがあったら・・・個人的には握手w」
イタ「個人的には握手はナイス!w」
レイン「握手……考えてみたらそれだけでかなり幸せだなぁ(笑)。」
寂水「握手となると近くで見れるし、かわえぇなぁ〜、という感じの妄想が一瞬にしてw」
芒「(握手を思いつかなかった自分に愕然)……そうか、それもいいですね〜」
寂水「FVB国民としては、摂政の助命嘆願って感じでしょうか。」
イタ「摂政や藩王(さくらさん)もそれを望んでいるの?」
寂水「摂政の助命を何らかの形で実行する、というのは目標の一つみたいです。」
芒「なんとか力になりたいところですね〜」
寂水「まぁ意外となんとかなるんじゃないかなぁ、と思ってます。」


はっはっは、と下手すると内政干渉やら外交問題やらに
発展しそうな話題を華麗に受け流す。
このあたりが他国訪問の醍醐味でもあるのかもしれません。
え?そんなの楽しんでるの私だけですか?


そんなこんなで日が暮れて、
「と、もうこんな時間かぁ、それではそろそろ失礼させてもらいますね」
と、お辞儀をして席から立ち上がる。
「またいらしてくださいな〜」
「こっちでも、どうにかならないか考えてみます」
そんな温かい言葉に思わずホロリとしながら
改めてお辞儀をして会議室を後にした。


「いい人達ばっかりだったなぁ」
FVBへと向かいながらさくら王に連絡を入れる。
「やっほ〜、今日はになし藩国にアポ無しで遊びに行ってきてたよ〜♪」
『何ソレw 楽しかった?』
「超楽しかったです( ̄▽ ̄)」
『じゃあ、漫遊記よろしく♪』
「文族じゃないから無理ですw」


と、この時の会話がまさか本当になろうとは
私自身夢にも思っていませんでした。


つづく


次回 たけきの藩国編

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