今回、藩王の命により遂行された「ブラック恋人探し」について、文族:道化見習いがここに記すことにする。

・参加者

○国民番号:17000
 国民名:さくらつかさ
 族称:藩王【天戸】 大族【地戸】
 所属藩:Floresvalerosasbonitas 〜麗しき勇気ある花たちの国〜
 魂の故郷:島根県
 根源力:16900 (封土・購入分/初期/獲得:0・200/6000/10700)
 【国民紹介】 藩王さま。基本は放任主義。ハンコ押し(仕事)がイヤで脱出、部下から逃げ回るのが常。いわば実践で磨いた逃走上手が功を奏して、今回も命からがら逃げ出しての再建国。謎解きをこよなく愛しているが一向にあたらず、思索派というよりガチ接近戦闘系。恋人探しに世界を股にかけようと奔走中。(文族まとめ)


○国民番号:17003
 国民名:阿部火深
 族称:技族
 所属藩:Floresvalerosasbonitas 〜麗しき勇気ある花たちの国〜
 魂の故郷:福岡県
 根源力:5000(封土・購入分/初期/獲得:1000・1900/1000/1100)
 【国民紹介】 小柄で童顔、年齢不詳な夜型人間。遠く離れた地に住む弟に毎月少なからぬ送金を行っている、姉の鏡とも思える人物だが、同時に何よりも女性を愛し、女性であるというだけでどんな欠点も美点であると言ってはばからない奇人でもある。


○国民番号:17004
 国民名:寂水
 族称:吏族 
 所属藩:Floresvalerosasbonitas 〜麗しき勇気ある花たちの国〜
 魂の故郷:長崎
 根源力:4700(封土・購入分/初期/獲得:0・100/2000/2600)
 【国民紹介】 基本的に物腰は穏やかで腰が低いものの、卑屈な人間では無い。5歳児と互角に遊べる精神構造を持っており、柳のように柔軟でしぶといタイプ。手間がかかって面倒な仕事が大好物という変わり者。苦しい時ほどお気楽に振舞うらしい。


○国民番号:17007
 国民名:夜狗 樹
 族称:技族
 所属藩:Floresvalerosasbonitas 〜麗しき勇気ある花たちの国〜
 魂の故郷:鳥取県
 根源力:8300(封土・購入分/初期/獲得:0・100/4000/4200)
 【国民紹介】 豊かな自然に囲まれて日がなぼ〜っと呆けていることを何より好むダメ技族。平たく言うとマイペースの人。頑固、天気屋な面と併せ、ある意味職人気質と言えなくもない。ちなみに張り切るほどに空回りが激しくなるタイプなので要注意。


・物語

 今回、犬忍者:さくらつかさ王、夜狗 樹、吏師:寂水、機甲侍:阿部火深の4名は藩国内にある離島、ブロック7の灯台を目指していた。
 前回の冒険で、ブロック1の海沿いにある灯台を探索して油田を発見したことに味を占めたのかというと、まったくそんなわけもなく、さくら王が「素敵な人はきっと灯台にいるんだよ☆」とよくわからない発言をきっかけに冒険隊が組まれることになった。そして、いま彼らは灯台の入り口にいるのだが、すでにさくら王が行方不明になっていた。

「さっきまで私の隣りを歩いていたはずなのに……」
 夜狗はぼんやり呟くと空をゆっくり見上げた。
「まぁ、オウサマだからなぁ」
 仕方ないよなぁ、といった感じではははと笑う寂水。
「藩王さまのことですから、きっとご無事でいらっしゃいますよ」
 幼さの残る顔で微笑む火深。

 彼らにとって、さくら王が突然姿を消すことなど日常茶飯事のことであり、また、さくら王は大事なときに必ず姿を現すことも彼らは知っていた。

     *

 一方、さくら王はというと、すでに灯台の内部におり、
「コイビト♪ コイビト〜♪」
 ご機嫌に口ずさみながら灯室を目指してひた走っていた。
「むっ」
 と、なにを思ったのか突然走ることを止める。
「う〜ん、このまま灯室目指すのも暇だなぁ」
 さっきから一応、警戒を怠らず注意していたのだが、なんのイベントもアクシデントも起こらず少々あっけないなぁと思っていたのだ。
「あっ、イイコト思いついた☆」
 にひひと含み笑いをひとつ漏らすと、いまきた道を戻り始めた。

     *

 夜狗、寂水、火深の三人は、灯台に踏み込んだときこそ警戒して、先頭を歩く夜狗が感覚を鋭くする技『聴』を使用していたが、あっけないくらいなにも起こらない現状に三人ともすっかり和んだ雰囲気になり雑談しながら灯室を目指していた。
「いやぁ、俺さ、こんなに楽だとは正直思ってなかった」
「毎回こうだと、楽でいいんですけどねぇ」
 寂水が鼻歌混じりに調子よく言い放つと、火深もほのぼのと調子をあわせる。
 先頭を歩く夜狗がそんなふたりのやりとりを温かい気持ちで聞いていた次の瞬間、

 夜狗がずっこけた。

「うぅ……」
 夜狗が鼻を抑えながら辺りを見ると、低い位置にぴんと張られたロープがあった。どうやらこれに足を引っかけたらしい。
「夜狗さん、大丈夫ですか?」
 夜狗を助けようと寂水が近寄れば、

 今度は寂水が足を滑らせた。

「あいたたた……」
 仰向けに倒れ起き上がろうと地面に手をつくと、ぬるっとした物体が手に付着する。
 そのとき――

「わぁっはっはっはっは」

 どこからともなく三人の前に人影が。
「ふたりとも、油断大敵だぞ♪」
 さくら王、その人であった。
「藩王さま、やっぱりご無事だったんですね」
 笑顔でさくら王に近づく火深。
「酷いですよ、王様……」
 鼻を摩り摩り涙目の夜狗。
「まったく、困ったオウサマですね」
 ゆっくりと立ち上がり手についた物体を嫌そうに眺める寂水。

「だってぇ、あんまりにも暇だったんだもん」
 悪びれることもなく応えたさくら王は、
「さぁさぁ、灯室はもうすぐそこだよー。灯室まで競争だー♪」

 文句をあれこれ言われる前に、近くにあった上り階段を軽いステップで駆けていった。

「相変わらず、逃げ足の速い……」
 夜狗が呟く。
「オウサマ待ってくださいよ〜」
 寂水が追いかけようとしたとき、

「ふぎゃぁーーーーーーーー!」

 さくら王の悲鳴が上の階から響く。
 何事かと残された三人が慌てて階段を駆けあがると、そこには大量の巨大鼠が、キィキィ言いながら赤い目を光らせ、さくら王と対峙していた。

「うわぁ」「これは」「大変そうですね……」
 三人が言い終わるや否や飛びかかってくる大量の巨大鼠。

 寂水が技『織り姫の指』を使用して呪符を大量にばら撒くと、素早く印を切る。

「燃え尽きろッ!」
 ばら撒かれた呪符が一斉に炎と化し、巨大鼠たちを紅蓮のなかへ飲み込んでいく。


 夜狗は襲いかかってくる巨大鼠の群れを紙一重で天高く飛んでかわすと、

「くらえッ!」
 宙を舞いながら群れに向かって小型爆弾を投げつけていく。

 激しい爆発音、吹き飛ぶ鼠たち。
 燃え上がる炎と煙のなか、技『天眼』を発動した火深は静かに鞘から刀を抜き放つと、

「我等は勝利の剣にして守護の盾、故に先陣を切ることこそ我らが誉、殿に立つことこそ我らが誇り」

 決意を胸に、群れの中へ突撃を開始した。
 迫りくる鼠たちを次々に切り捨てなぎ払っていく。
「みんなぁ、がんばれー」
 ただひとり、いつのまにか後方に下がってにこにこ見学しているさくら王。

 と、その背後に鼠が……。
「甘いッ!」
 さくら王は鼠を見ることもなく、手裏剣を投げ見事に的中させる。


 ほどなくして、巨大鼠の群れは一匹残らず退治された。


     *

「ふぅ、やっとついたぁ」
 灯室に辿り着いたさくら王は灯室から外を眺めたあと、

「で、なにしにきたんだっけ?」
 冒険の目的などすっかり忘れていた。
「オウサマ〜……」
 寂水がへたりとその場にへたり込む。
「お願いしますよ〜……」
 夜狗がちょっと涙目になった。
「まぁ、藩王さまですからねぇ」
 火深は優しく微笑んで笑った。
「ま、そんな日もあるさー」
 さくら王は気楽に言うと、ふと床に落ちている地図を発見した。

「これはなに?」
 拾いあげて首をかしげながら地図を見る。
「んー、見たところこの離島の地図みたいねぇ」
 何気なく気になって他の三人も地図を覗き込んだ。
「おぉ」「なんかバッテンがありますね」「これはいわゆる」


「宝の地図だぁ♪」

 このあと、×印のついた場所を調査した所、なんと油田が発見されたのであった。





・冒険結果

○参加冒険: No11:ブラック恋人探し
○寂水:4600:東国人+吏族+理力使い
○阿部火深:3100:東国人+サイボーグ+剣士
○夜狗 樹:8200:東国人+犬士+忍者
○さくらつかさ:16900:東国人+犬士+忍者
○冒険結果: 大成功 :得たお宝: E 28燃料 14万t:ユニークな結果:なし
コメント:ブラック(くろ)の恋人は油田でした。

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