作戦用掲示板

SSオペレーター 投稿者:曲直瀬りま@FVB

 ミアキス型改装空母<桃花丸>のブリッジには、幾つものスクリーンが展開され、航海士やオペレータたちが敵の動きを分析するのに余念がない。
「さあ、決戦よ。気合いを入れていこー!」
 指揮艦席から檄を飛ばす藩王さくらつかさ。だが、隣に控えている栗田雷一は苦笑いしている。
「なによ!?」
「いや、ピンチだなと思いまして」
「まぁ、いつでもピンチだから」
「今回負けると後がありませんよ」
「後が無いのも、いつものこと」
 そうだ、そうだと他の面々も頷いた。まったくいつもと変わりない。平常心といえば平常心に満ちあふれた光景である。
「さあ、敵の動きをしっかり捉えてよ。薄いところも、薄いと見せかけて厚いところも……味方が敵前線を突破できるもできないも、みんなオペレータ次第なんだからね」
 そういいながら、さくらつかさは懐からぴかぴか光る金貨を取り出して、みんなに掲げて見せた。
「いい? 最初に敵の穴を見つけた者には、こいつを進呈するわ!」
 そして、金貨を思いっきり、五寸釘でブリッジの大黒柱に打ち付けた。オペレータたちから歓声が上がった。そしてオペレータ任務に就いていないお庭番は一斉にI=Dへ走った。ケント搭載のセンサーを使おうというのだ。そして宙侍たちも走った。彼らの持つデータリンクシステムを使い、船外から肉眼で探査しようというのだ。
 その噂は付近に展開する味方艦にも飛んだ。
 わんわんの艦からにゃんにゃんの艦にも飛んだ。そして飛んでいる間に伝言ゲーム理論で情報が変質し、いつの間にか赤オーマの額に五寸釘を打ち込んだ者がさくらつかさの嫁になるという話になっていた。
「嫁ですか……」
「いいなあ。嫁、欲しいなあ」
 確認のため伝わって来た情報に目を通した栗田は頭をかき、さくらつかさは夢見る表情で笑みを浮かべた。
「嫁、欲しいですか?」
「欲しいワン」
 藩王は一応女性なのであるが、それと嫁が欲しいかどうかは別問題らしい。ツッコミどころをじっと考えた栗田はやがてぽつりと答えた。
「嫁がいないならメードを雇えばいいのですよ」
 そして嫁をなんだと考えているのかと、ブリッジ中から男性女性を問わず非難を浴びることになる。
 それはともかく、これで各艦のオペレータにはかなり気合いが入ったらしいと言うことである。

2007/06/30(Sat) 21:26:35  [No.317]


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