ここは戦場だった。
しかし祖国でもあった。
咲き誇っていた花や樹も、飛び回っていた虫や鳥も、小川で戯れていた魚も、今はもういない。何か動いているとすればFVB解放に向けて突き進む戦士であり、何か蠢いているとすれば、それを阻止しようとするアンデッドしかいない。
舞花・T・ドラッヘン「確実に各個撃破していきましょう。相手の動きが遅いのが救いですね」
舞花の言葉に栗田は肯いた。こちらが有利な点といえば、もはやそれだけだ。あの魔法陣さえ消し去れれば、一気呵成に蹂躙もできようが、今は足場を固めつつ、1つずつ潰していくしかない。
鍋野沙子「まだ押し寄せてきますね」
栗田雷一「焦らず、落ち着いていくぞ、敵の歩みは遅いぞ」
その言葉に、他のサムライたちもにやりと笑った。
光儀「了解、敵の動きを見て……いまだ!!」
掲げられた杖が光を放ち、敵の戦列を切り崩していく。
菩鋳螺「戦線から離れてたモノから削っていきますよ!!」
その言葉に、油断するなと応える栗田。
栗田雷一「包囲されることがないように、周りの様子をしっかり見張っておいてくれ」
鍋野沙子「はい」
栗田雷一「こちらは装甲が薄いんだ、相手を近寄せるな」
矢継ぎ早に破壊呪が打ち込まれていく。しかし、腕を吹き飛ばされたくらいでは歩みは止まらない。足を吹き飛ばされても手で這って前進してくる。まったく始末に負えない敵だった。
栗田雷一「続けて、詠唱放てー!」
これが祖国であり、彼らが国民のなれの果てかと思うと泣きたくなってくる。